今回は7人旅の第6回目ということで、ようやく到着した銀山温泉でお絵描き対決をするという内容でした。
今回も音声面で気になった部分の中からいくつか挙げてみます。
7人旅の続きの動画ということで今回も冒頭・締めのあいさつはありませんでした。
前回(2023年3月21日)の動画の感想文の中で旅動画はいつまで続くのかという話題でちょっと書きましたが、今回の動画の最後に次回予告として旅動画の続きが出ていたので、4月に入ってからも旅動画が継続することは確定ですね。
となるといつまで続くのかが気になるところです。
仮に第10回まであると仮定して、週1のペースでアップされるとすれば4月28日がラストということになりますが、2023年4月26日には2022年のデビューツアー(なにわ男子1st Debut Tour 2022 1st Love)のDVDとブルーレイがリリースされるので、それに関連する動画が割り込んできたりすると旅動画の最終は5月に入ってくるかもしれません。
そもそも第10回目までないという可能性もありますが、さてどうなるでしょうか。
今回の動画のお絵描き対決では最も良い絵を描けた人にご褒美が与えられるということになっていましたが、道枝くんによる「ご褒美」の「ほ」の子音がかなり強烈な発音になっていました。
「強烈」というのが何を指すのかについて理解してもらうために、まずは前提知識となる日本語のハ行の子音 /h/ について触れておきます。
hの音は子音の分類上は「無声声門摩擦音」とされる音です。
調音点が声門ということで、のどのかなり奥の方で作り出される音に当たります。
それで話が終われば簡単なのですが、日本語では後ろに付く母音によってハ行の子音の発音は大きく変化し、日本語母語話者は気づいていないけれど実際にはhとは全く別の音で発音されているというケースが多々あります。
特に音が変化するのが母音が i, u のときで、「ひ」は [çi](çは無声硬口蓋摩擦音)、「ふ」は [ɸɯ](ɸのように無声両唇摩擦音)のようにhとは全く別の音で発音されます。
「は」「へ」「ほ」については [ha] [he] [ho]のようにhになることが多いですが、これも個人間(または個人内)でも揺れがあり、無声軟口蓋摩擦音 [x]やより口の奥(口蓋垂)で作られる[χ](←記号がweb上でうまく表示されるか分かりませんが)などの音として発音されることもあり、それで発音されても日本人の聞き手であれば違和感なく /h/ だと受け止めることができてしまいます。
音素と異音という概念を知っている人であれば、音素 /h/(日本人が頭の中でハ行子音だと思っている音)があり、その音素に対応する異音(実際に発音される(された)音)として [h] の他に [ç], [ɸ], [x] など複数の音が存在しているということになると解釈することができるでしょう(なお、音声学・音韻論では音素は/ /に入れて、異音は[ ]に入れて表記するというルールになっています)。
補足:日本語母語話者はハ行子音の発音の変化に気づいていないと述べましたが、特に最近の若い世代の人の中には、「ふ」についてはローマ字表記(ヘボン式)の際にfuとfの文字で書くことから子音がhとは異なると認識している人もいるかもしれません。ただし、fの音は無声唇歯摩擦音で厳密にはɸとは異なる音なので、例えば「英語のfの音と同じだ」などと考えてしまうのは間違いです。
ちなみ「ふ」をfuと表記するヘボン式ローマ字を考案したのは外国人(ヘボン=Hepburn)で、ヘボンさんにとって日本語の「ふ」の子音がfに最も近い音だと感じられたのでそのように記述したということのようです。一方、日本人の直観に忠実な(=音素表記に近い)訓令式のローマ字では「ふ」はhuと書かれることになっていて、伝統的な日本語の感覚(日本語以外の言語に触れたことのない日本人が持つであろう感覚)としては「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」の子音はすべて同じ音だということになります。
さて、声門摩擦音である [h]については、「あ」を発音する口の構えをしたまま息を吐くときに出る音とか、声は出さずにため息を吐くときに出る音が典型的な音で、子音の中では比較的弱めでそれほど目立つタイプの音ではありません。
以上のことを踏まえて道枝くんの「ご褒美」の発音に話を戻すと、「ごほうび」の「ほ」の子音が [h] で発音されているとすれば、子音の摩擦音としての音はほとんど聞こえない程度の強さで発音されるはずなのです。
が、実際にはそうではなくかなりはっきり息の音が聞こえる発音になっていました(音としては [x]などに近い感じで、ここまで息の音が強く出るのは珍しいなという印象)。
冒頭で「強烈」と表現したのはこのことを指しています。
なお、3分22秒付近でも「ご褒美」という発音はありましたが、こちらはわりと普通の「ほ」で発音されていた(録音条件の違いとか、動画のBGM等の影響もあるかもしれませんが・・・)ので、道枝くんが「ほ」の子音を常に強烈なタイプの方で発音しているということでもなく、たまたま個人内の発音の揺れとして生じたのだと思われます。
音声は言語的な内容だけでなく、喜怒哀楽といった感情を伝える役割も持っています。
文字面では同じ内容のことを話しているとしても、真剣に話しているように聞こえることもあれば感情がこもっていないように聞こえることもあるなど、発音次第で相手に与える影響もかなり変わってきますよね。
管理人は長尾くん推しということもあり、普段から長尾くんの発言は特に注意を払って聞いているのですが、今回長尾くんが全く同じ文字面の発言を複数回する箇所があり、改めて感情と音声のつながりという点に気づかされたので、取り上げてみることにします。
まずはお絵描き対決の勝者が発表され、自分が優勝だと知ったときの「やったー」です。
次に、審査員による講評(一番良い作品だと判断した理由の説明など)を聞いた後の「やったー」です。
同じ「やったー」ですが、①とはかなり違った印象を受けます。
最後がお絵描き対決に勝利したご褒美として焼きココアと手作りプリンをもらえると知ったときに発せられた「やったー」です。
あくまで音声を聞いての印象ではありますが、③が最も本気で「やったー」と言っているように聞こえる気がします。
「ご褒美」とは言っても嬉しくないタイプのものである可能性もあったので、そうではなく本当に良いご褒美がもらえると分かった嬉しさもあったのかもしれませんね。
例として出すことはしませんが、「やったー」以外に「ありがとうございます」も3回出てきているので、興味のある方は動画を見てぜひ聞いてみてください。
管理人は感情と音声のつながりという点についてはそれほど詳しくないですが(主観ですが、この手の話は心理学の分野での研究は多いが言語学ではあまり・・・という感じな気がします)、興味はあるので今後先行研究を読んだりしていきたいなと思っているところです。
本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。