なにわTube【2023年10月3日】感想文

今回は北海道アポなし旅の第2弾ということで、前回に引き続きエスコンフィールドでの動画でした。

いつものように発音面で気になったことの中からいくつかピックアップしてみます。


冒頭・締めのあいさつ

今回は前回からの続きの動画ということで、予測された通り冒頭あいさつはありませんでした。

また、次回に続くときには締めのあいさつがないというのも典型的なパターンであり、今回もそれを踏襲していました。

夏の旅動画は来週以降も続くと思われるので、恐らくは次回の動画も冒頭・締めのあいさつが共に無いという状態になりそうです。


有声促音の忌避

11分37秒付近ほか:BIGBOSS

新庄監督が普段座っている椅子のくだりで、何度かBIGBOSSという単語が出てきていました。

日本語的な発音としてカタカナで書けば「ビッグボス」となるでしょうが、このBIGBOSS、メンバーの発音を聞く限りでは「ビックボス」のように「グ→ク」となっているようでした。

BIGBOSSの発音例

長尾くんの場合

当該部分の音声(なにわTube動画 2023年10月3日11分37秒付近) ※再生時は音量にご注意ください

道枝くんの場合

当該部分の音声(なにわTube動画 2023年10月3日11分57秒付近) ※再生時は音量にご注意ください

「ビッグ → ビック」(g → k(もしくはgg → kk))という現象自体は、有声音の無声化という現象に当たります。

屋外での撮影で雑音が入りやすく、そもそも発音がはっきり録音されていないというのも一因かと思いますが、それ以上に大きな理由として、この無声化の現象には音声学的な要因が関わっていると考えられます。

ビッグ(biggu)に出てくるggのように、促音(小さい「っ」)の後に有声阻害音が出てくるタイプの音は、有声促音といいます(他にもbb, ddなどがあります)。

促音は、より一般的には重子音と呼ばれるタイプの音になりますが、有声重子音(有声促音)は日本語に限らず、様々な言語で避けられる傾向があることが知られています。

有声重子音(bb, dd, ggなど)が避けられやすい理由を極めて簡単に言ってしまうと、これらの音の発音がとてもしにくく聞き取りもしにくいためです(最後に参考文献を挙げておきますので、詳しく知りたい人はその文献やそこに記載された文献を見てみると良いでしょう)。

このサイト(感想文シリーズ)の中で、外来語でbag(バッグ)やbed(ベッド)が「バック」や「ベット」と発音されがち(そして、そう発音されてもあまり違和感がなく気付かない)だという現象の話は何度か出てきているかと思いますが、この「ビッグボス → ビックボス」もそれと全く同じタイプの現象で、日本語以外の言語にも共通する音声学的な原理によって生じた現象だと言えるわけですね。


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。

有声促音に関する参考文献(とりあえずこれを読んでおけば間違いないです)

Kawahara, S. (2006). A faithfulness ranking projected from a perceptibility scale: the case of [+voice] in Japanese. Language, 82(3), 536-574.

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