なにわTube【2024年2月13日】感想文

今回は「2文字芝居」をするという企画で、大橋くんと大西くん、長尾くんの3名が出題者(?)でした。

次回に後編(完結編)があるようなので、残りの4名は来週出題者になるということかと思います。

さて、今回も発音関係で気になった点を取り上げてみたいと思います。


冒頭・締めのあいさつ

次回に後編があるということで、今回は締めのあいさつは無しで冒頭あいさつのみがありました。

冒頭あいさつ自体も特に目立った点は無かったかと思います。


異形態?と前鼻音

0分57秒付近および8分46秒付近ほか:「2文字」と「十文字」

今回のテーマは「2文字芝居」ですが、動画を見る限りではこの「2文字」は「にもじ」という読みのようでした。

なにわTube動画(2024年2月13日0分57秒付近)より

それに対して、途中に出てきた催眠術師の「十文字さん」の「十文字」については、「じゅうもじ」ではなく「じゅうもんじ」と「ん」が入った状態で読まれていました。

なにわTube動画(2024年2月13日8分46秒付近)より
なにわTube動画(2024年2月13日8分55秒付近)より

このように「文字」を「もじ」ではなく「もんじ」と読むのは例外的だと思いがちですが、実際には「菊一文字」(きくいちもんじ、刀の名称)とか「二文字屋」(にもんじや、お店の名称)のように「もんじ」と読まれる例はあるし、「文」という漢字自体、「もん」(呪文、文言、一文無し、・・・)や「ぶん」のように「ん」が入った状態で読まれるのが一般的なので、「文字」を「もじ」と読む方がむしろ珍しいと言えそうです。

さて、「文字」を「もじ」と読むか「もんじ」と読むかという話を、「ん」を入れて読むか入れずに読むかという問題だと捉え直してみると、他にも「鳶」(とび vs. とんび)や「昆布」(こぶ vs. こんぶ)、「東」(ひがし vs. ひんがし(※古文などで))など、「ん」を入れずに読む場合と入れて読む場合が混在している例を見つけることができます。

「鳶」に関しては鳥の種類については「とび」・「とんび」のどちらも使えるが、職業を指すときには「とんび」とはあまり言わないなど、意味が関係している可能性もありますが、「昆布」などは「こぶ」でも「こんぶ」でもほぼ同じ意味となるような気がするので、これは異形態の一種だと言えるかもしれません。

ま、異形態の話はさておき、これらの例に見られるような「ん」の有無による複数の読み方が生じる現象については、日本語の歴史的な発音の変化が関わっているのではないかと思います。

管理人自身は日本語の歴史についてはあまり詳しくなく、あくまで昔ちょっと勉強した程度の知識しかないのであくまで「感想」程度の内容であることを予め断ったうえで書きますが、昔の日本語における濁音は前鼻音(「入りわたり鼻音」という名称を使う人もいるかも)を伴っていた(b, d, g, zなどがそれぞれ[mb], [nd], [ŋg], [n(d)z]のように鼻音成分を伴って発音されていた)と言われています。

従って、文字としては「ん」が書かれていなくても、濁音は「ん」のような音(※現代日本語の「ん」のように1モーラ分の長さがあるかどうかは別として)が入った状態で発音されていたと考えられるので、「もじ」は「もnじ」、「とび」は「とmび」、「こぶ」は「こmぶ」、「ひがし」は「ひŋがし」のように発音されていた(そして、現代に近くなるにつれて、実際の発音に合わせる形で文字上も「ん」を入れて表記するようになった)とすると、「文字」や「鳶」、「昆布」などに複数の表記・読み方が存在しているのは昔の日本語の発音の名残であると考えることができるかもしれません(繰り返しますが、筆者は日本語の歴史には詳しくないので、全く異なる理由で複数の読み方が発生したという可能性もありますのでその点はご注意ください)。

ところで、この前鼻音ですが、現代でも一部の方言・年齢層ではまだ発音が残っていると言われていて(例:「そうだ」という意味で「んだ」(nda)など)、現代の漫画やアニメなどでも訛ったキャラクターの発音として使われていたりするので実は多くの人になじみがある現象だったりします。

また、現代でもわりと残っている鼻濁音についても、この前鼻音が由来であると考えられます。

ともかく、今回の動画に出てきた「2文字」と「十文字(じゅうもんじ)」という読み方から、様々なことを考えさせられたという話でした。


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。

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