今回の動画のテーマは「俳句でわかるなにわ男子」ということで、メンバーがそれぞれ俳句を作って詠むという内容でした。
今回も動画の内容と音声学の話題を関連づけて書いてみます。
今回の冒頭あいさつは、イントネーションやテンポなど、あらゆる面で普段の冒頭あいさつとは異なっていました。
一方、締めのあいさつは普段と同じような感じでした。
冒頭あいさつが普段と異なっていた点については、動画のテーマが俳句ということで、伝統や情緒みたいなことを意識して普段とは言い方を変えたということではないかと推察します(そうであれば、次回以降は元通りになるはずです)が、さてどうなるでしょうか。
今回のテーマである俳句と言えば、五・七・五のリズムが重要となります。
この五・七・五というリズム、日本人には簡単に理解できる感覚ですが、日本語以外の言語を母語とする人にとっては必ずしも理解しやすいものではありません。
これはその言語において単語の長さをどのようにカウントするかという問題に関わってきます。
大抵の言語では、単語の長さを数える際の単位は「音節」です。
音節というのは、簡単に言うと母音(=聞こえ度が高い音)を中心として子音(=聞こえ度が低い音)がくっつくことで作られる発音のまとまりのことです。
言語によって、子音が母音の前後にいくつまで付くことができるかが変わってきますが、基本的には聞こえ度の高い音を中心として聞こえ度の低い音が群がった構造となります(聞こえ度については用語解説のページに説明がありますので、詳しく知りたい方はそちらをどうぞ)。
これに対して、日本語では「音節」ではなく「モーラ(拍)」という単位を用いて語の長さを数えます(俳句の「五・七・五」というのは、モーラという概念に基づくと5モーラ・7モーラ・5モーラから成る構造だと言い換えられます)。
モーラは音節の下位分類にあたる概念で、イメージ的には音節をさらに細かく分解したものと捉えることができます。
音節をより細かく分けた単位であるため、モーラで数えた場合と音節で数えた場合でカウントがずれる場合があります。
具体的には、長音や促音(小さい「っ」)、撥音(「ん」の音)があると、モーラで数えるときと音節で数えるときでずれが生じます(これらの音は、モーラで数える際には1つ分とカウントしますが、「音節」で数える場合にはこれらの音は独立した音とは見なしません)。
例えば、「マシンガン」については、モーラで数える場合は「マ・シ・ン・ガ・ン」のように5つの音があると見なしてカウントしますが、音節で数える場合には「マ・シン・ガン」のように3つとカウントします(モーラで数えると5モーラ、音節で数えると3音節)。
モーラで数えたときの数が日本人が直観的に感じる長さ、音節で数えたときの長さが日本語以外の言語の話者が直観的に感じる長さということになり、「マシンガン」に関しては日本人と外国の人で長さの感じ方が異なることになります。
一方、長音や促音、撥音等の音を含まない場合には、音節で数えてもモーラで数えても同じになる場合があり(例:「ふじわらの」であれば、音節で数えてもモーラで数えても5つ分)、この場合は日本人でも外国の人でも長さの感覚は同じとなります。