なにわTube【2023年3月14日】感想文

2月21日に7人旅動画(パート3)がアップされて以降、2週間ほどは別の動画が続きましたが、今回は7人旅の動画の続きに戻りました。

今回も、動画を見ていてつい気になってしまった点(音声学関連のこと)をピックアップしてみます。


冒頭・締めのあいさつ

7人旅の続きの動画ということで、今回は冒頭・締めのあいさつはありませんでした。

ある意味予想通りで、次回も続きの動画なら同じようになることでしょう。


英語っぽい発音?

以前にも取り上げたことがあったかと思いますが、西畑くんはちょくちょく日本語を英語っぽく発音することがあります。

もちろん、パフォーマンスの中でちょっと英語っぽく発音するのは普通にある話ですが、興味深いのは、普通そこでは英語っぽく発音しませんよね?という部分で英語っぽく発音する場合があるという点です。

そんなわけで、「実は英語ペラペラ説」という仮説を立てて証拠となる事例を収集し続けているのですが、今回、たまたまそれが動画の中で出てきていたので取り上げてみます。

15分17秒付近:半分はつraい

観覧車の中で西畑くんと高橋くんがトークをする中で、時間の大半を「変なじゃんけん」に費やしてしまったという場面で西畑くんから「変なじゃんけんで半分は辛いって」という発言が出ました。

この中の「辛い(つらい)」の「ら」の発音が今回の焦点です。

通常、日本語のラ行音は「弾き音」とか「たたき音」と呼ばれ、舌の先が上の歯のやや後ろ当たりの歯茎に瞬間的に付く(そしてその直後には離れる)ことで作られる音だとされています(中には個人の癖等でそうならない人もいますが、西畑くんの通常のラ行の発音は典型的な日本語のラ行です)。

英語のrの発音は、舌の先がやや反らされた感じになり、舌が上の歯茎に接近はしますが、発音の最初から最後まで歯茎に接触することはありません。

このように、日本語のラ行子音は、ローマ字では慣習としてrと表記されますが、音声学的には英語のrとはそもそも異なり、音色も異なる(訓練しないと日本人には聞き分けが難しいですが)わけです。

以上が前置きですが、今回取り上げる「辛い」の発音では、通常の日本語のラ行の発音ではなく、英語のrにやや近い音色になっているというのが興味深い点です(該当箇所の音声を引用しておきます)。

当該部分の音声(なにわTube動画 2023年3月14日15分17秒付近) ※再生時は音量にご注意ください

「やや近い」という曖昧な表現になっているのは、聴覚的には日本語のラ行音の典型からは外れて聞こえるものの、音響的な指標からは必ずしも英語のrの典型的な発音とも言い切れず、残響等の影響でそう聞こえがちになっている可能性なども否定できない気がしたからです。

また、ネタ的に「ラ行を英語っぽく発音している」と取り上げていますが、発音のメカニズム的には、「つらい」の「つ」の母音があまり前舌寄りになっていない(通常、日本語ではsやtsなどの後ろに来る母音uは、前の子音の影響で発音時の舌の位置がかなり前の方に寄ってしまう傾向があるのに対し、そうなっていない)ことと、発音の際に唇がわずかに円唇気味になっている様子が伺えるので(日本語のuは非円唇と言われるが、関西ではその傾向が弱いと言われることがあり、そのせい?)、舌先と本来接触するはずの歯茎の距離が離れ気味になったり、舌の待機中の形状的に先端部を上に素早く動かす動作がしにくかったりで、舌先の歯茎との接触が不十分になってしまった結果、日本語のラ行子音としては非典型的な音声になってしまった、というような感じで生じたものなのではないか?とも思っています(実際、「つ」のuを円唇・後舌にした状態で「つらい」と発音しようとすると、言いにくい感じがするので)。

【参考】日本語のラ行子音の発音動作について

たまたまこれを書いている前日に映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』を見てきたのですが、その中に日本語のラ行子音の発音時の舌の動きがはっきり見えるシーンが登場していました。

これについては映画の見どころとして以下のページで紹介していますが、これからこの映画を見に行かれる方はぜひ舌の動きにも注目を!

『なのに、千輝くんが甘すぎる。』音声学者による見どころ解説

その他

2分43秒付近:大阪ぶり(?)

音声学的にどうこうということではなく、セリフを聞き取るのが難しかったので、単に何と言っているか知りたいということなのですが・・・。

道枝くんと藤原氏が観覧車に乗っている間の会話で、藤原氏が発した「観覧車いつぶりやろ」に対する道枝くんの発言ですが、テロップでは「大阪ぶりかな」となっているものの、「大阪」と「ぶり」の間に明らかに何かのワードが入っているのです。

最初は、単に発言する際にうまく舌が回らず言い間違ったのかとも思ったのですが、言い間違ったら即座に突っ込みそうな藤原氏が何も言わず、それどころか「いや、マジそれ。」と激しく同意していたので、「大阪〇〇」のような固有名詞など、何か意味のある単語なのではないかと推察します。

・・・が、それが何なのかまったく検討がつきません。

何と言っているのでしょうかね?


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。

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