なにわTube【2024年6月4日】感想文

今回の動画は体育館で人狼鬼ごっこをするという内容でした。

今回も音声学的に興味深い発音が出てきていましたので、いくつか取り上げてみたいと思います。


冒頭・締めのあいさつ

前回に引き続き、今回も冒頭・締めのあいさつともに出てきていました。

発音面でも普段と比べて特に大きく目立つ点は無かったと思います。


長母音の短母音化(超重音節の忌避?)

0分40秒付近/15分52秒付近:体育 → たいく

今回は体育館での人狼鬼ごっこということですが、この「体育」の発音については音声学的に色々と興味深い点があります。

とりあえず、今回の動画に出てきた「体育館」と「体育倉庫」を例に挙げつつ述べてみます。

なにわTube動画(2024年6月4日0分40秒付近)より抜粋
なにわTube動画(2024年6月4日15分52秒付近)より抜粋

漢字を見ると「体(たい)+育(いく)+館(かん)」ですが、動画冒頭付近の西畑くんの発音では「たいいくかん」ではなく「たいくかん」のように発音されていました。

西畑くんによる「体育館」の発音

当該部分の音声(なにわTube動画 2024年6月4日0分40秒付近) ※再生時は音量にご注意ください

また、動画後半の長尾くんの発言の中に「体育倉庫」という単語も出てきましたが、これも「たいいくそうこ」ではなく「たいくそうこ」のように発音されていました。

長尾くんによる「体育倉庫」の発音

当該部分の音声(なにわTube動画 2024年6月4日15分52秒付近) ※再生時は音量にご注意ください

西畑くんや長尾くんに限らず、多くの人が「体育」を「たいく」と読むことが多いように思いますが、これには音声学的な要因があるように思います。

日本語では同じ母音が続くと長母音として発音されるという特徴があるので、「たいいく」は「たいーく」のような感じの発音になるのが標準的なパターンだと考えられます。

ということで、「たいいく(たいーく) → たいく」となる現象は、音の変化としては長母音の短母音化だと言えます。 

さて、「たい(tai)」のaiは2重母音であり、1音節で2モーラ(拍)分の重さを持つと見なされますが、この後に「いく」が続いて「たいーく(taiːku)」となることで、aiːの部分が3モーラ分の重さを持つ音節に変化することになります。

このように1音節で3モーラ分の重さを持つ音節を超重音節と呼びますが、この超重音節は日本語では避けられやすいことが知られています。

例えば、英語のground /graʊnd/ やphone /foʊn/ を日本語に取り入れる場合、含まれる超重音節/aʊn/や/oʊn/を避ける形で「グラウンド → グランド」や「フォーン → フォン(アイフォン、テレフォンなど)」のような音変化を起こす場合があります。

「たいいく → たいく」という変化では、長母音が短母音になることで超重音節が重音節に変わることになり、結果的に超重音節が生じることを避けようとしているように見えます。

つまり、今回西畑くんや長尾くんの発音にあった「たいいく → たいく」音の変化は発音のミス等ではなく、超重音節を避けようとして生じた、つまりは日本語に一般的に存在するルールに則ったものだと考えられそうですね。


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。

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