なにわTube【2024年5月28日】感想文

今回の動画はアドリブで台詞をつないでいく「あいうえお即興芝居」をするという内容でした。

この「あいうえお即興芝居」、管理人は初めて知りましたが、人気の定番企画とのことなので最近の若い人の間ではよく知られている遊びなのでしょうかね。

今回も音声学的に興味深い点が色々出てきていたので、一部を取り上げてみます。


冒頭・締めのあいさつ

今回は冒頭・締めのあいさつ共に出てきました。

両方揃って出てきたのはほぼ1か月ぶりとなります。

今回も発音上目立った点は特になかったように思います。


音節とモーラ

今回の「あいうえお即興芝居」、最初は①「あ」~「そ」、②「た」~「ほ」、③「ま」~「ん」の3ブロックに分け、一番台詞量が多かった人が優勝という設定で始まりましたが、途中からは7人が2チームに分かれてどちらがより学園ものにふさわしい芝居ができるかを競う形となり、結局誰が(どちらのチームが)勝ったのかも不明なままでした。

「学園ものとしてのふさわしさ」の評価は人によって異なると思いますので、ここでは前半のルールである「一番セリフ量が多かった人」という部分について考えてみたいと思います。

なにわTube動画 2024年5月28日1分33秒付近より抜粋

「あいうえお即興芝居」というものを初めて知った者としては、「セリフ量」というのはおそらくセリフの長さのことを指すのだろうと推測はできます。

また、この「長さ」の定義はおそらくセリフの発話に要した時間(例:「こんにちは」の言い始めから言い終わりまでに0.64秒要した、など)ではなく、俳句の5・7・5と同じ感じに数えたときの長さ(「こんにちは」なら「こ・ん・に・ち・は」で5つ分)に当たるかと思います。

この俳句の5・7・5のような数え方の単位になっているのが「モーラ」(または拍)という単位で、日本人の「単語の長さ」の感覚を表す重要な概念です。

よく似た概念として「音節」というものもありますが、これは日本語以外の多くの言語で単語の長さを数えるときの基本的な単位となります(例えば、英語のunderstandという単語であれば、un-der-standのように3つの音節から成ると見なされます)。

なお、日本人の長さの感覚とは若干ずれが生じますが、日本語の単語を音節で数えることもできます。

セリフ量の計測

今回は動画前半に出てきた「あいうえお即興芝居」のセリフ(2分28秒~6分43秒)について、モーラと音節でそれぞれ数えてみて、それぞれについて誰が最もセリフ量が多かったのかを調べてみることにします。

[参考] 音節とモーラの数え方については、以前に少し詳しく書いていました。興味のある方は参考にしてみてください。

なにわTube【2024年2月27日】感想文

なお、フレーズ末・発話末の母音が長母音なのかどうか(←これによってモーラ数が変わってくる)については判断が難しいので、動画のテロップに表示されたものを「セリフ」と見なして計測対象とし、発音はされているがテロップに表示されていない部分については計測対象外としています。

※二重母音を1つの音節と見なすのかとか、語境界をまたいで生じる同一母音の連続を別にカウントするのかなど、音節の定義の細かい部分は研究者によっても若干見解が揺れる部分がありますが、ここでは特殊拍や二重母音を1つの音節と見なし、語境界をまたいで生じる同一母音の連続等は別カウントとする形で集計しています。

結果

一番最初の時点でのルールに沿って、①「あ」~「そ」、②「た」~「ほ」、③「ま」~「ん」のブロックごとに7人のトータルのセリフ量(音節で数えた場合とモーラで数えた場合の2パターン)を調べてみると、以下のようになりました。

「あ」~「そ」のブロック

音節で数えた場合モーラで数えた場合
西畑1215
大西1014
長尾3545
道枝1519
高橋910
藤原1620
大橋515

「た」~「ほ」のブロック

音節で数えた場合モーラで数えた場合
西畑2230
大西69
長尾1316
道枝34
高橋1317
藤原1013
大橋2225

「ま」~「ん」のブロック

音節で数えた場合モーラで数えた場合
西畑1214
大西1722
長尾3239
道枝4049
高橋1417
藤原58
大橋1923

3つのブロックの合計

音節で数えた場合モーラで数えた場合
西畑4659
大西3345
長尾80100
道枝5872
高橋3644
藤原3141
大橋4663

3つのブロックの合計で見ると、音節で数えてもモーラで数えても長尾くんが一番ということになりました。

動画後半の部分については集計していませんが、興味がある人はモーラや音節の数え方の練習がてら計算してみてはいかがでしょうか?


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。

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