なにわTube【2022年10月25日】感想文

今回の動画は高橋くんを被写体としてイケてる写真を撮るという内容でしたが、いつもながら発音に関する色々と出てきていました。

今回も冒頭あいさつに興味深い変化が観察されましたが、日頃から細かくてマニアックな部分ばかり取り上げている感じがしなくもないので、今日はそれとは別に英語からの借用語といういかにも王道っぽく、かつ動画の中でも目立っていた部分についても取り上げてみます。


冒頭・締めのあいさつ

「どうも」は今日も下降調

前回に引き続き、今回も冒頭・締めともにあいさつがあり、前回の動画の時と同様、「どうも」が明確な下降調(普通に「どうも」という際のアクセント)で発音されていました。

前回もそうでしたが、ちょっと特殊な(?)ポーズとともに「どうも」と言っているので、西畑くんの中での何らかのブーム的なものなのかもしれません。

「せーの」にも異変が・・・

詳しくない人のために説明しておくと、なにわTubeの冒頭あいさつは「せーの」「ちゅきちゅきー」「どうも~」「なにわ男子です」というパートから構成されています。

このうち、「どうも~」(←たいていは西畑くん)と「なにわ男子です」(全員)は冒頭あいさつがある場合にはほぼ必ず共起して出てくるので、2つ合わせて必須要素と言えます。

それに対して、「せーの」(←たいていは西畑くん)と「ちゅきちゅきー」(全員)は必須要素ではなく、出てくるときもあれば出てこないときもある、という感じになっています。

中でも、「せーの」は最も省略される率が高い存在です(どのくらいの頻度で生じているかなど、詳細は↓↓↓のページにまとめてありますので気になる方はどうぞ)。

なにわTube観察記:あいさつデータ編

前置きが長くなりましたが、今回、この「せーの」の発音にもこれまでにないパターンが観察されました。

「せーの」は、みんなが「ちゅきちゅきー」を言うタイミングを揃えるための掛け声としての役割がメインだと考えられます。

なにわTube冒頭あいさつにおける従来の「せーの」も、我々が普通に言うときのような「せーの」(アクセントは高低高)とほとんど同じ言い方でした。

以下に従来の「せーの」のサンプルとして、デビュー発表前(ジャニーズJrチャンネル時代)の頃のもの、CDデビュー発表~デビュー前、デビュー後の「せーの」の例を示しますが、それぞれテンションに若干違いはあるものの、いずれも同じアクセント型で普通にタイミングを揃える合図を出しているだけという印象を受けるかと思います。

デビュー発表前の「せーの」の例

(2021年5月11日ジャニーズJr.チャンネル動画より) ※再生時は音量にご注意ください

CDデビュー発表~デビュー前の頃の「せーの」の例

(2021年10月18日ジャニーズJr.チャンネル動画より) ※再生時は音量にご注意ください

デビュー後の「せーの」の例

(2022年7月5日なにわTube動画より) ※再生時は音量にご注意ください

それに対して、今回の動画の「せーの」は、アクセントが従来の「高低高」から「高高高」に近いような、全体に高いまま伸ばされた感じになり、また、「の」の発音全体がいい加減(nの発音がラ行っぽく短めに発音され、oの母音も音色が曖昧な感じ)になり、「せーら」と聞こえなくもないような感じで発音されています。

今回の「せーの」

(2022年10月25日なにわTube動画より) ※再生時は音量にご注意ください

Youtube動画で公式(ジャニーズJrチャンネルまたはなにわTube)として出されている動画の中で、「せーの」が最初に出てきたのは2021年5月11日動画だったかと思いますが、今回のようなタイプの「せーの」が出現したのは今回が初めてではないかと思います。

発音の変化としては、慣れない状態で一音一音丁寧に発音している状態から、その単語の発音に慣れて来るにしたがって発音が緩んでいくというのを自然な変化であると捉えるならば、今回のような「せーの」の発音の変化も自然なものと言えるかもしれません。

この点も今後どうなるか観察していきたいと思っています。


英語からの借用語

3分51秒付近・4分1秒付近:「ホース」と「ホース」

写真を撮るときに使わなければならないアイテムとして、馬(ホース)の被り物と水を撒くときに使うホースが出てきていて、「ホース」つながりでネタになっていた部分です。

馬のホースも水を撒くホースも日本語に取り入れられてしまうと「ホース」ですが、英語の方では馬は horse /hɔːrs/ で水を撒くホースは hose /hoʊz/ と、母音の発音も子音の部分の発音も異なります。

日本語に比べて英語の方が母音の数が多いので、英語では別々の母音が日本語では1つの母音に集約されてしまうというのはよくあることで、今回の/ɔː/と/oʊ/はともに「オー」となってしまう典型例ですね。

第2言語習得における音産出・知覚に関するある理論では、外国語の音を聞いた際、人間は無意識のうちに母語にある音のカテゴリに当てはめて聞いてしまうとされていて、それに当てはめて考えると、今回のケースでは外国語の/ɔː/と/oʊ/という本来別のカテゴリの音が、日本人が母語に持つoという母音のカテゴリに同化されてしまったということになります。

一方、子音の/s/と/z/がともに「ス」になってしまったのは、単に綴りが両方ともseと書かれているのでスだと勘違いされたという可能性もありますが、語末の有声音(この場合はz)は無声化しやすいため、英語の方での実際の発音が[s]っぽく聞こえる(※英語の語末の有声音は、子音そのものの音価が当てになりにくいので先行母音の長さ等、別の部分を参照して判断される)ので、sもzも「ス」で取り入れてしまったという可能性もあるかもしれません。

何にせよ、英語のネイティブスピーカーにとってはこの2つの「ホース」は全くの別物でしょうが、これを日本人は発音の使い分け/聞き分けが出来ず恥ずかしいと解釈するか、この2つの「ホース」が「同じだ!」と感じて楽しむことができるのは日本人ならではの感性であり、我々だけが持つ特権と見なすか、人によっても解釈が分かれそうですね(個人的には後者の解釈の方が楽観的に人生を楽しめるような気がします)。


他にも今回の動画に関連する音声学のトピックが色々とあったのですが、このあたりでやめておきます。


参考文献・出典

本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。(本文中で音声を紹介した順に並んでいます)

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