今回の動画は7人旅シリーズの第3回ということで、遊園地を貸切っての鬼ごっこをするという内容でした。
いつものように気になった部分を挙げていきます。
今回もシリーズものということで、前回同様冒頭・締めのあいさつはありませんでした。
昨年と同じパターンだとすると、あと3~4回ほどは冒頭・締めのあいさつ無しが続きそうです。
「今何分経ったんやろ」は鬼から逃げている途中に西畑くんが発したセリフです。
「何分」の読み方としては、「なんぷん」と読む人と「なんふん」と読む人がいそうですが、西畑くんの発音では「なんぷん」と発音されていました。
このように一つの形態素(=意味を持つ最小の単位と言われることもあり、漢字は一文字が一つの形態素と見なせます)に二つ以上の発音が存在する場合、これらを「異形態」と呼びます。
【参考】形態素・異形態についてはこちらの用語解説ページである程度詳しく説明しています。
用語解説:形態素・異形態1~10までの数字に「分」を付けたときの読み方を挙げてみたのが以下の表ですが、これを見ると①「ぷん」としか読まない場合、②「ふん」としか読まない場合、③「ぷん」でも「ふん」でもどちらでも良い場合、という3つのパターンがあることに気づきます。
数字+ぷん | 数字+ふん | |
1分 | 〇(いっぷん) | ×(いっふん) |
2分 | ×(にぷん) | 〇(にふん) |
3分 | 〇(さんぷん) | 〇(さんふん) |
4分 | 〇(よんぷん) | 〇(よんふん) |
5分 | ×(ごぷん) | 〇(ごふん) |
6分 | 〇(ろっぷん) | ×(ろっふん) |
7分 | ×(ななぷん) | 〇(ななふん) |
8分 | 〇(はっぷん) | ×(はっふん) ※はちふんなら〇 |
9分 | ×(きゅうぷん) | 〇(きゅうふん) |
10分 | 〇(じゅっぷん/じっぷん) | ×(じゅっふん/じゅうふん) |
①~③のうちどのパターンになるかは、「分」の前に来る音によって予想ができます。
まず、①の「ぷん」としか読まない場合については、いずれも促音(小さい「っ」)が「分」の直前にある形になっていて、促音のあとに「ふん」が続く形はかなり違和感があります。
次に、②の「ふん」としか読まない場合についてですが、これを考える前に先に③の「ぷん」でも「ふん」でもどちらでも良い場合を見てみると、③になるのは「分」の直前が撥音「ん」の場合に限られていることが分かりますね。
②については、①と③の条件以外の場合、つまり、「分」の前に促音・撥音が来ない場合と言えます(10以上の数字については挙げていませんし、方言差などもあるかもしれませんが、基本的に同様のパターンになると思います)。
異形態の出現パターンは様々ですが、以上の例からも分かるように、出現パターンに音の種類が関与する場合があることが分かります(ちなみに、促音と撥音は「特殊拍」と呼ばれる音で、名前からもわかる通り日本語の音の中では若干特殊なふるまいをするタイプの音です)。
ところで、「本」であれば、「いっぽん、にほん、さんぼん、・・・」のように「ぽん」「ほん」「ぼん」の3パターンが出てきますし、「分」についても「3分の1」のように「ぶん」と読まれることがありますが、時間を表す際には「ぶん」という読み方が出てくることはありません(ちなみに、「本」については上記の「形態素・異形態」の用語解説ページで扱っています)。
前後の音韻環境だけでなく、意味によっても異形態の出現パターンが異なる分布を示すという解釈になるのか、もしくは、単に時間の単位の「分」と分数の時の「分」は別の形態素だと見なすことになるのか、それとももっと別の分析が成り立つのか、管理人は形態論についてはあまり詳しくないのでよく分からないですが、とにかく今回のなにわTube動画を見て異形態について復習するきっかけになりました。
その他
人狼鬼ごっこの説明の中で、道枝くんが「人狼が市民になりすましてデンしてくる」という発言をしていました。
この「デンしてくる」の元の形は「デンする」という動詞であると思われ、文脈からは「(鬼ごっこで)捕まえる」というような意味かなと思いますが、初めて聞く表現でした。
「デンする」を検索してみると、大阪弁らしいという情報が引っかかっては来るのですが、知り合いの関西出身の人に聞いても「使わない」と言われてしまいました・・・(聞いた人は関西出身ではあっても「大阪」出身ではなかったので、そのせいかもしれません)。
大阪限定の方言なのであれば、さすが「なにわ男子」というところですね。
本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。