今回は7人旅動画の10回目で、旅動画としては最終回でした。
前回の動画の最後の予告編で寝起きドッキリ的な内容であることは示唆されていましたが、最終回っぽいことは書かれておらず、まだまだ続くのかなと思っていたところなので急な展開にちょっと驚きました。
2023年4月22日放送の『初心ラジ』では大西くんが旅動画に関して「10本くらい撮りためてる」的なことを発言していたので、それを踏まえれば確かに10回目で最終回だなということになりますが・・・。
さて、今回も発音関係で気になった点を挙げてみたいと思います。
今回も冒頭あいさつはありませんでしたが、旅動画の最終回ということで久しぶりに締めのあいさつが出てきたので、管理人的にはとてもテンションが上がりました。
特徴的だったことと言えば、旅動画の主役が道枝くんということで、「以上」の部分は西畑くんではなく道枝くんが発音していたという点と、朝起きてすぐなのでテンションが低かったという点くらいでしょうか。
何にせよ分析のサンプルが増えるのは喜ばしいことです。
今回の動画では寝起きドッキリ企画ということで、先に起きたメンバーが他のメンバーの寝起きをreportするという内容でした。
なぜあえてreportと書いたかですが、企画の説明の中で道枝くんが「寝起きレポート」と「寝起きリポート」のように異なる言い方をしたため、どちらかに偏らない表記にしようと思ったからです。
「レポート」と発音されている個所
「レポート」と発音されている個所
なお、テロップでは「リポート」となっていました。
ちなみに管理人は普段「レポート」と言いますが、思い返してみると、日常の中で「レポート」も「リポート」もどちらも表現として見かけたり聞いたりする機会があるように思います。
両方とも英語のreportをカタカナ語として取り入れた形だと思われますが、音声学者(言語学者)としては、どちらが正しい表記であるかという話題よりも、なぜこのような変異形が生じるのか?という話題に興味を持ってしまいます。
というわけで、この件に関して音声学者としてぱっと思いついたことを書いていきます。
まず、英語のreportの発音を辞書で調べてみると、/rɪpɔː(r)t/(辞書によっては/rəpɔː(r)t/なども)というのが標準的な発音のようです。
綴り字の “re” に当たる部分の発音は / rɪ / ということで、ここから単純に考えると、「リポート」は英語の発音に近い形なのに対して、「レポート」については単語の綴りがreだからそれに影響されて「レ」になっている、というように考える人もいるかもしれませんが、実はそれほど単純な話ではありません。
母音の発音記号として書かれている ɪ (※ i ではない)というのは、以下の母音の台形図(国際音声記号に基づく)の位置関係から分かるように、実は iとeの中間的な特徴を持つ母音です。
つまり、状況によってはeのように聞こえても不思議ではない音ということですね。
さらに、英語は強勢アクセント言語で、アクセント(強勢)がない音節の母音はあまりはっきり発音されず、結果的にあいまいな音色の母音になってしまいがちであるという特徴もあります。
reportのreにはアクセントが置かれないので、発音記号が / rɪ / であったとしてもこの ɪ が本来の音色ではっきり発音されないということもしばしば起こります。
以上のような理由から、発音の面でreportは「リポート」と「レポート」(場合によってはそれ以外の母音)のどちらに聞こえてもおかしくないということになります(従って。道枝くんの発音にあったように「レポート」と「リポート」が混在して出てくることについても、必ずしもおかしいことではないと言えるでしょう)。
もしかすると世の中には「リポートが正しい発音です。あなたが行ったレポートという発音は間違いです。」みたいに誰かからマウントを取られて悔しい思いをした人もいるかもしれませんが、そもそも日本語のカタカナ表記で英語の発音を100%正確に記述することはできませんし、発音の観点からも「レポート」でも「リポート」のどちらかが絶対的に正しいみたいなことは言えないので、どちらでも好きな方を使えば良いということですね。
本文中で取り上げたメンバーの発言や音声・図はすべて下記の動画の該当部分(具体的な個所は本文中に明記)から引用したもの。